フィチン

3-誇張される「フィチン酸のデメリット」と玄米への当てはめの誤り

ミネラル泥棒は冤罪!?「フィチン酸の悪い噂」と玄米の真実


ハカセ!さっきの話で、玄米に入ってるのは「フィチン」だって分かりましたが、体の中の大事なミネラルを体の外に連れ去っちゃう『ミネラル泥棒』の「フィチン酸」て、やっぱり怖いんですけど……

ふむ、ケンタくんが心配しておるのは、専門用語でいうと『キレート作用』とか『ミネラル吸収阻害』とか言われる性質のことじゃな。確かに、さっき話した・純粋な『フィチン“酸”』には、そういう金属イオン、つまりミネラルと強力にくっつく性質があるのは事実・じゃ。実験室レベルではな。

やっぱりーー!! じゃあ、玄米食べたら、せっかく食べた小魚のカルシウムとか、レバーの鉄分とかが、フィチン酸(…じゃなくてフィチン?)に横取りされちゃうってことじゃないですか! ヤバい!ヤバい!

まぁまぁ、落ち着くんじゃ、ケンタくん!
玄米に入っているのは、ミネラルを欲しがってる『フィチン・酸・』ではなくて、・既にミネラルと仲良く手をつないでいる、穏やかな『フィチン』・ じゃったろう?

あ! そうでした! つい取り乱してごめんなさい。 『フィチン』は、もうミネラルさんとカップル成立済みみたいな状態でしたね!

そうじゃ! 例えるなら、純粋な『フィチン酸』は『誰かいい人いないかな~?』とミネラルを探しておる状態かもしれんが、『フィチン』は・既に素敵なパートナー(ミネラル)がいる状態・なんじゃ。だから、体の中に入ってきても、『おーい、そこの鉄さん! カルシウムさん! こっち乗り換えない? 一緒に体外脱出しようぜ!』なんて、・積極的に他のミネラルを奪いにいく力は、ずっと弱い・と考えられておるんじゃよ。


えっ!? そ、そうなんですか!? もう恋人がいるから、他の人を口説きに行ったりしない、みたいな感じ…?

まあ、そんなイメージじゃな! それどころか、話は逆かもしれんぞ? フィチンが連れてきた・パートナーのミネラルが、体の中で『じゃあ、ここで失礼します!』と体に吸収されて、むしろミネラル補給に役立つ可能性・すら、最近では研究されておるんじゃ。

ええーーっ!?!? 泥棒どころか、・ミネラルを届けてくれる宅配便・の可能性もあるってことっすか!? 全然話が違うじゃないですか!!

そういうことじゃ! ここは大切なので、重ねて言うが、
玄米を食べることで、むしろ、ミネラルを与えるのが、フィチンの役割なのじゃよ。

でも!じゃあ、なんでネットだと『フィチン酸』って言われることが多いんですか? 玄米に含まれるのは『フィチン』なのに……!

おそらくネットの情報では、実験室レベルでの『フィチン酸』の強い性質だけが注目されてな。本来、玄米にある『フィチン』との違いを理解しないまま、あるいは混同したまま、安易に『玄米は危険だ!』と針小棒大に騒ぎ立てておるのじゃろう。

なるほど…!

少し専門的になるが、食品の『フィチン』量を測るときには、分析のために『フィチン酸』に変換して測定する。そのため、分析結果の表示は『フィチン酸』の数値になっている。この背景を知らない人は、その表示だけを見て『食品にフィチン酸が入っている』と間違える。これも誤解する要因の一つかもしれないのう。

なるほどぉ…! 『フィチン』と『フィチン酸』の違いもごっちゃにして、なんだかネットの情報に踊らされてた自分が恥ずかしいっす…。

まあ、誰にでもあることじゃ。大事なのは、正確な情報を知ることじゃからな。これで『ミネラル泥棒説』は、ほぼ冤罪だってことが分かったかな?

はい! バッチリ分かりました! スッキリしました~! でもハカセ、そうなると、その玄米に入ってる『フィチン』って、ミネラルを供給してくれる以外に、もっと何か良いこととかないんですか?

ほっほっほ、ケンタくん、良いところに目がいくようになったのう! 実はな、そのフィチンには、・『えっ、そんなパワーも秘めてたの!?』と注目されている一面・があるんじゃよ。それはまた、次のお楽しみじゃな!

えーっ! またいいところで! 気になります!


POINT

誇張される「フィチン酸のデメリット」と、玄米への当てはめの誤り

1.風評の内容は :「フィチン酸がミネラルの吸収を阻害する」という性質(キレート作用)が、玄米が危険とされる主な理由であるが……。

2.キレート作用の真実 : フィチン酸が金属イオンと強く結合する性質を持つことは事実であるが、これは純粋な「フィチン酸」について語られる性質である。

3.玄米の「フィチン」は : 玄米に含まれているのは「フィチン」という、既にミネラルと結合している化合物である。このため、体内で他のミネラルをさらに奪って体の外に出してしまう、とは考えにくいでしょう。 むしろ、「フィチン」がもともと持っているミネラルの方が、体の中で利用される(供給される)と考えられます。

4.結論: たとえ意図的でなかったとしても、玄米に含まれる「フィチン」を「フィチン酸」と誤って決めつけ、さらに「フィチン酸」の性質を誇張して玄米を危険視することは、科学的根拠に乏しい論法だと言わざるを得ない。

『玄米、フィチン』の文献